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今回は、スバルの安全装置の象徴であるEyeSightについて、歴代EyeSightとその機能、搭載モデルについてを紹介します。
もともとはSI-Cruiseから始まり、
- EyeSight(初代)
- EyeSight ver.2
- EyeSight ver.3
- アイサイト ツーリングアシスト
- アイサイトX
と進化をしてきました。
それぞれ機能が異なる部分があるので、全モデルについてこの記事でまとめて紹介します。
目次
SI-Cruise
SI-CruiseはEyeSight登場前にスバルが搭載していた運転支援システムで、BP型レガシィにおいての専用グレード「SI-Cruise」に採用されていました。
SI-Cruiseの概要
SI-Cruiseはカメラを用いないプリクラッシュブレーキシステムです。
レーダーを用いて先行車両を認識し、追従走行を行うシステムです。
先行車への追従走行以外にも、先行車不在時には一定速度での走行などもできました。
イメージ的には、トヨタのミリ波レーダー方式に近いといえます。
SI-CruiseはEyeSightの原点
SI-CruiseとEyeSightは、決定的な違いとしてカメラの利用の有無があるので、多くの場合まったく別のシステムとして扱われているようです。
しかし、スバルの予防安全における基礎的なものであることは確かであり、SI-CruiseなしにはEyeSightは生まれなかったでしょう。
SI-Cruiseを原点とするの進化系が、今のEyeSightということができるので、EyeSightと一緒に比較してみると面白いかもしれませんね。
SI-Cruiseの搭載モデル
SI-Cruiseの搭載モデルは、下記のとおりです。
モデル | 型式 | 備考 |
レガシィ ツーリングワゴン | BP型 | 3.0R系 2006年11月~ →2008年5月(F型)~ EyeSight 2.0GT系 2006年11月~ →2008年5月(F型)~ EyeSight 2.5i系 2008年5月~ |
BR型 | A型 2.5GT ATのみ →B型~ EyeSight ver.2 |
|
レガシィ B4 | BL型 | 3.0R系 2006年11月~ →2008年5月(F型)~ EyeSight 2.0GT系 2006年11月~ →2008年5月(F型)~ EyeSight 2.5i系 2008年5月~ |
BM型 | A型 2.5GT ATのみ →B型~ EyeSight ver.2 |
|
レガシィ アウトバック |
BP型 | 3.0R系 2007年5月~ →2008年5月~ EyeSight 2.5i系 2008年5月~ |
BR型 | A型 3.6R系のみ →B型~ EyeSight ver.2 |
SI-Cruiseの初登場は、ツーリングワゴン/B4の特別仕様車、SI-Cruise Limited(2006年11月発売モデル)です。
EyeSight(初代)
EyeSight(初代)の認識性能は、
- 前方90m以内
- 視野角25°
- 白黒画像認識
となります。
EyeSightが登場したころも、まだレガシィはBPの世代でした。
プリクラッシュブレーキ機能
プリクラッシュブレーキは以下の機能に分けられます。
- 警告動作
- 1次ブレーキ
- 2次ブレーキ
各機能についての性能は、以下の表のとおりです。
機能 | 動作 | 条件 |
警告機能 | 警告音 メーター内の警告灯 ブレーキ介入なし |
先行車との接近 |
1次ブレーキ | 弱いブレーキ | システムが前方障害物との衝突の危険性を認識 |
2次ブレーキ | 強いブレーキ | システムがより衝突の危険性が高まったと認識 →法定速度&認識距離(90m)の関係上、完全停止は不可 |
この動作については、EyeSightの基本動作であり、以後ver.3までほとんど変化していません。
改良点としては認識距離が長くなったことによる衝突回避性能の向上があげられるでしょう。
クルーズコントロール機能
クルーズコントロール機能は、高速道路において、二輪車を含む先行車を検知し、追従走行を行う機能です。
また、先行車が存在しない場合には、設定した速度で一定に保ち、ドライバーの負荷軽減を行います。
クルーズコントロールの仕様を以下の表にまとめました。
設定値 | 備考 | |
設定上限速度 | 100km/h | メーター読み114km/hまで |
設定下限速度 | 40km/h | |
動作速度 | 2km/h以下で解除 140km/hへの加速で解除 |
2km/h以下で自動解除 →停止時にはブレーキ操作必須 アクセル操作による解除は無し |
車間距離設定 | 3段階(長・中・短) | |
最大限速度 | 0.25G | カメラにより前方90mの認識のため追突の危険性あり |
その他の機能
その他の機能としては、
- AT誤発進抑制制御
- 車線逸脱警報
- ふらつき警報
- 先行車発進お知らせ
があります。
搭載モデル
初代EyeSightは、レガシィシリーズに加えて、エクシーガにも採用されました。
モデル | 型式 | 備考 |
レガシィ ツーリングワゴン | BP型 | 3.0R系:2008年5月(F型)~ 2.0GT系2008年5月(F型)~ |
レガシィ B4 | BL型 | 3.0R系:2008年5月(F型)~ 2.0GT系:2008年5月(F型)~ |
レガシィ アウトバック | BP型 | 3.0R系:2008年5月(F型)~ |
エクシーガ | YA型 | 2.0GT系:2009年9月(B型)~ →2012年7月(E型)~ EyeSight ver.2 |
この当時、エクシーガが「ぶつからないミニバン!?」というキャッチフレーズで登場していたのが印象的ですね。
EyeSight ver.2
EyeSight ver.2の認識性能は、初代と変更ありません。
しかし、ブレーキの介入に関しての制御が変更され、予防安全装置としての性能が高まり、レガシィシリーズをはじめとして数多くのスバル車に搭載されました。
スバル公式のYouTubeでも機能が紹介されています。
プリクラッシュブレーキ機能
プリクラッシュブレーキ機能に関する仕様を下の表にまとめます。
機能 | EyeSight ver.2の仕様 | EyeSight(初代)の仕様 |
先行車との相対速度 | 30km/h以内 | 明記無し |
完全停止 | 対応 | 非対応 →国土交通省によるドライバーの意図に反する完全停止を禁止するルールがあったため |
作動速度 | 10~140km/h | 明記無し |
緊急制動のサポート | 1次ブレーキ以降のブレーキ操作で、倍力装置のアクチュエーターが作動。 →ブレーキアシスト機能の強化版的なイメージ。 |
特になし |
EyeSight ver.2で完全停止に対応する他、先行車との相対速度は30km/h以内ということも明記されるようになりました。
クルーズコントロール機能
クルーズコントロールに関しても機能は同じなのですが、仕様が変更になっています。
EyeSight ver.2の仕様 | EyeSight(初代)の仕様 | |
設定上限速度 | 114km/h | 114km/h |
設定下限速度 | 40km/h | 40km/h |
動作速度 | 0~140km/h 完全停止まで動作可能 |
2~140km/h 完全停止不可 |
車間距離設定 | 3段階 以下100km/h時の車間距離 長:50m 中:40m 短:30m |
3段階 具体的な車間距離の明記無し |
最大減速度 | 0.4G | 0.25G |
停止保持機能 | 手動パーキングブレーキ車:2分間 電動パーキングブレーキ車:無制限 |
停止不可 |
EyeSight ver.2になり、だんだんと仕様が明確になってきています。
ver.2の特徴は、
- 完全停止可能
- 最大減速度の向上
- ブレーキアシスト機能の強化
というあたりでしょう。
その他の機能
その他の機能については、EyeSight(初代)と変更点はありません。
再度紹介しておくと、
- AT誤発進抑制制御
- 車線逸脱警報
- ふらつき警報
- 先行車発進お知らせ
となります。
搭載モデル
EyeSight ver.2は多くの車種に搭載されました。
車種 | モデル | 備考 |
レガシィ ツーリングワゴン | BR型 | B型以降 |
レガシィ B4 | BM型 | B型以降 |
レガシィ アウトバック | BR型 | B型以降 |
フォレスター | SJ型 | |
インプレッサ | GP型/GJ型 | 2.0i系:全期間 1.6i系:2015年10月~ |
エクシーガ | YA型 | 2.0GT系:2012年7月~ 2.5i系:2012年7月~ |
クロスオーバー7 | YA型 |
EyeSight ver.3
EyeSight ver.3では、基本仕様が変更されました。
ver.2との違いをまとめます。
仕様 | EyeSight ver.3 | EyeSight ver.2 |
画像認識 | カラー →先行車のブレーキランプの認識が可能 |
白黒 |
認識距離 | 110m (視野角と合わせ40%向上) |
90m |
相対速度 | 50km/h | 30km/h |
さらに、これらの基本機能に加えて、オプション装備で、
も用意されています。
ツーリングアシストには、EyeSight ve.3に追加してステアリングへの制御機能、アイサイトXでは、さらに追加で社会インフラとのコネクティッドな機能が装備されます。
詳しくは、リンク先の詳細記事にてご確認ください。
これにより、各種機能についても性能が向上しています。
スバル公式YouTubeでも機能が紹介されています。
プリクラッシュブレーキ機能
プリクラッシュブレーキの機能について、ver.2と比較する形で紹介します。
機能 | EyeSight ver.3の仕様 | EyeSight ver.2の仕様 |
先行車との相対速度 | 50km/h以内 | 30km/h以内 |
完全停止 | 対応 | 対応 |
作動速度 | 0~160km/h | 10~140km/h |
緊急制動のサポート | 右に同じ | 1次ブレーキ以降のブレーキ操作で、倍力装置のアクチュエーターが作動。 →ブレーキアシスト機能の強化版的なイメージ。 |
衝突回避可能な先行車との相対速度が50km/hに拡大されました。
プリクラッシュブレーキの動作速度が160km/hまで拡大されていますが、日本の法定速度では不要な領域です。
おそらく海外を意識した技術開発なのでしょう。
クルーズコントロール機能
なお、EyeSight ver.3のカッコ内は、2017年以降の仕様です。
新東名高速道路などにおける120km/h規制の影響を受けて、上限を拡大しています。
EyeSight ver.3の仕様 | EyeSight ver.2の仕様 | |
設定上限速度 | 114km/h (135km/h) |
114km/h |
設定下限速度 | 40km/h | 40km/h |
動作速度 | 0~140km/h (0~145kmh) |
0~140km/h |
車間距離設定 | 3段階 以下100km/h時の車間距離 長:60m 中:45m 短:30m ※一部モデルでは4段階となります。 |
3段階 以下100km/h時の車間距離 長:50m 中:40m 短:30m |
最大減速度 | 不明 | 0.4G |
見つからないだけかもしれませんが、一部仕様が明記されていないものがあるようです。
見つかり次第、追記します。
その他の機能
その他の機能では、EyeSight ver.2の機能である
- AT誤発進抑制制御
- 車線逸脱警報
- ふらつき警報
- 先行車発進お知らせ
をベースとし、以下の機能が追加されました。
- アクティブレーンキープ(車線逸脱防止機能)
- プリクラッシュステアリングアシスト
- AT車誤後退抑制機能
EyeSight ver.3では、上記のようにステアリングへの介入も開始しました。
搭載モデル
EyeSight ver.3はレヴォーグをはじめとし、数多くのスバル車に搭載されています。
■レガシィ アウトバック
■レガシィ B4
■レヴォーグ
■WRX S4
■フォレスター
■XV
■インプレッサ
まとめ
ここまで、スバルの運転支援システムであるEyeSightについて紹介してきました。
進化の流れとしては、
- 追従機能
- プリクラッシュブレーキ機能
- ステアリング介入
という順序で進化しています。
だんだんと自動運転に近づいていますね。
以上、EyeSightの歴代モデルについて、参考になれば幸いです。